「以前の」英語のニュアンスの違い
previous, former, last, quondam

「以前の」を意味する英語も previous, former, last, quondam など様々です。日本語にすると同じ意味でも、英語では細かいニュアンスの違いで表現が大きく変わります。一つ一つの英語のニュアンスの違いを理解して、ネイティブの感覚に近づきましょう。

単語	ニュアンス
previous	順序としての「以前の」
former	今はそうではない「以前の」
last	今の直前を表す「以前の」
quondam	形式ばった「以前の」

/ ˈprēvēəs/

形容詞

ニュアンス

順序としての「以前の」

解説

previousはオフィシャルでもカジュアルでも広く一般的に使用される「前の」を表す言葉です。
しかし、「前の」という言葉は日本語においても混乱を招きやすい言葉であるため、lastとの違いなど細かなニュアンスを理解する必要があります。lastが時間の流れにおける「前の」を表す一方で、previousは順序としての「前の」を指します。「The previous year（前年）」など、直近の何かです。「last year（前年）」も間違いではないですが、以下の場合にはlastは使えません。
「I was in Tokyo 3 years ago, but the previous year, I was in Osaka.（私は3年前に東京にいた、しかしその前年（4年前）には大阪にいた。）」
これはlastは今時点の直前を表すのに対し、previousはとある時点の直前を表すことができるためです。
また、上記の例文においては、theがないとどこの段階からの「前」なのかが不透明になるため、注意が必要です。

adjective
[attributive] existing or occurring before in time or order:

ーオックスフォード英英辞典より引用

例文

Be careful. I found some mistakes in the previous document that you submitted.

気を付けて。あなたが提出した前の書類でいくつかミスがあったわ。

I’ve got impressed much with his previous article.

彼の以前の記事には非常に感銘を受けた。

/ ˈfôrmər/

形容詞

ニュアンス

今はそうではない「以前の」

解説

formerはpreviousと同じく順番としての「前の」を指しますが、今はそうではないという意味合いを含みます。
例えば、「a former president（元大統領）」、「a former rugby player（元ラグビー選手）」などのように使用します。
またformerには、直前という意味は含みません。そのため「a former president（元大統領）」の場合は、直前（一期前）の大統領なのか、二期前の大統領なのか、三期前の大統領なのかは分からず、ただ今は違うけど以前に大統領だった人というニュアンスになります。もし「直前（一期前）の大統領」と表現したい場合は「the previous president」の方が適切です。
また、the latter（後者）の対義語としてthe former（前者）という表現もあります。

adjective [attributive]
Having previously filled a particular role or been a particular thing:
of or occurring in the past or an earlier period:

ーオックスフォード英英辞典より引用

例文

I am a former teacher, and now a farmer.

私は元教師で、今は農家をやっております。

A former Italian president visited Japan last month.

元イタリア大統領が、先月日本を訪れた。

/ last/

名詞
形容詞
副詞

ニュアンス

今の直前を表す「以前の」

解説

lastは直訳では「最後の」です。そのため、「前の」の意味で使用する際にも過去を先頭とする時間の一番最後=今の直前というニュアンスを含みます。
また、previousと比べて口語的なため一般会話にて使用されることが多いです。例えば、
「last time（前回）」、「last week（先週）」、「last session（前回セッション）」等です。
last「前の」という言葉はよく知られていますが、動詞形になると「続く、存続する」という意味もあり、覚えておくと便利です。
例：「The meeting lasted two hours.（会議は2時間続いた。）」

adjective [attributive]
Coming after all others in time or order; final:
Most recent in time; latest:

ーオックスフォード英英辞典より引用

例文

Let's begin from the section we finished last time.

前回終わったセクションから始めましょう。

We have finally done the last project last week.

先週、私たちにとっての最後のプロジェクトがやっと終わった。

/ ˈkwändəm/

形容詞

ニュアンス

形式ばった「以前の」

解説

古い単語で、一般的に使用されるシーンは少ないですが同じく「以前の、かつての」を表します。
少なくとも、口語で使われることはほぼないので古書やオフィシャルな文面で目にする事があるかもしれません。
ニュアンスとしてはformerよりもややフォーマルでファンシー（装飾的な、高級な）な意味合いですが、formerの「今はそうではない」というニュアンスは含みません。例えば、
「a quondam friend of mine（私の昔の友人）」
は、今はもう友人ではないというニュアンスにはなりません。

adjective [attributive]
formal that once was; former:

ーオックスフォード英英辞典より引用

例文

The quondam advocate never disappeared in our memory.

以前の主唱者が私たちの記憶から消えることは決してない。

My quondam boyfriend is now my husband.

以前彼氏だった人が今は旦那さんです。

参考文献の紹介

ニュアンスブックで参考にしている文献を3点ご紹介します。

1. オックスフォード英英辞典

オックスフォード現代英英辞典第10版

単行本 : 7,620円

ニュアンスブックを執筆する際、1番精読しているのは英英辞典です。英語学習において英英辞典は1冊は持っておいた方が良いでしょう。1冊で生涯使えます。言語は時代や地域、話し手の育ちや環境で様々な解釈がされますが、辞典に書かれている内容は世界基準で標準化されている情報であることは間違いありません。言葉を調べる際にはまず最初に辞典を読むのが最速かつ最良の方法のひとつです。

オックスフォード辞典は、数ある英英辞典の中の王道中の王道であり、100年近く改訂を繰り返している歴史ある辞典です。値段はやや高いですが、書籍内に付属のプレミアムアクセスコードからスマホやタブレット、PCでアプリをダウンロードして使うことも可能です。

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2. ビミョウな違いがイラストでわかる！英単語類義語事典

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英語の類義語を集めた辞典です。

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